500℃以下でも熱割れ?テンパックスの耐熱温度とファイアライトとの違い
「サウナの窓ガラスを交換したい」「コンロ周りに透明なガラスを立てたい」——そんなときに候補になるのが、耐熱ガラス「テンパックス フロート」です。
ところでこの耐熱ガラス、どのようなときに割れるかをご存じでしょうか?
「耐熱温度を超えたら割れる」とイメージされる方も多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。
耐熱温度500℃のテンパックスが、500℃よりずっと低い温度で割れてしまうこともあるのです。
その理由は、ガラスそのものの温度だけではなく、急激な温度変化や、ガラス1枚の中に生じる温度差にも関係しているからです。
この記事では、テンパックスの基本スペックから、「耐熱温度」「耐熱衝撃温度」「熱応力」の違い、テンパックスが向いている場所、薪ストーブにはファイアライトが適している理由まで詳しくご紹介します。
耐熱ガラス「テンパックス フロート」とは?ドイツ・ショット社の高透明な耐熱ガラス
テンパックス フロートは、ドイツのガラスメーカー ショット社(SCHOTT)が製造している耐熱ガラスです。
化学組成はホウケイ酸ガラスで、耐熱ガラスの中でも透明度が高いのが特長です。
そのため、直火が当たるわけではないものの高温になる場所で、さらに「透明に見えること」も大切にしたい場所に適しています。
たとえば、サウナの窓やコンロ周り、厨房の仕切りなどに使用されています。
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耐熱ガラス・テンパックスの基本スペック
テンパックス フロートの主な仕様は以下のとおりです。
・製造メーカー:ショット社(SCHOTT/ドイツ)
・化学組成:ホウケイ酸ガラス
・常用使用温度(10時間以上):450℃
・最高使用温度(10時間未満):500℃
・耐熱衝撃温度:160℃
・熱応力:80℃
・厚さ:0.7/1.1/2.0/2.75/3.3/3.8/5.0/6.5/8.0/10.2/12.2/15.0/20.0/25.4mm
・強化加工:可能(別途お見積り)
厚さは14種類あります。
コーワのサイトから自動注文いただけるのは5mm厚ですが、3.3mm厚も在庫をご用意しています。
その他の厚さもお取り寄せできますので、お気軽にお問い合わせください。
普通のガラスとの見え方の違い
テンパックスの特長のひとつが、高い透明度です。
一般的なフロートガラスと並べてみると、その違いが分かります。
普通のガラスは切断面(小口)が緑がかって見えますが、テンパックスは小口が色がつかず、板面にも青みが少ないのが特長です。
透明度を活かせるため、たとえばキッチンのオイルガードのように、ガラス越しでも見渡したい場所にも適しています。
なお、テンパックスは一般的なガラスに比べて硬質なため、通常の小口磨きではフロートガラスのような艶のある仕上がりになりにくく、小口に多少の曇りが残る場合がございます。
右上:耐熱ガラス・テンパックス
左下:普通フロートガラス
耐熱ガラスは「3つの温度」で選びます
耐熱ガラスを選ぶとき、「500℃まで使える」という数字だけを見ていませんか?
実は、耐熱ガラスの性能を判断するときには、「耐熱温度」「耐熱衝撃温度」「熱応力」という3つのポイントがあります。
それぞれ意味が異なるため、順番に見ていきましょう。
① 耐熱温度
まずは「耐熱温度」です。
耐熱温度とは、高温の環境で使用するときの目安となる温度です。
テンパックス フロートの場合は、
- 常用使用温度(10時間以上):450℃
- 最高使用温度(10時間未満):500℃
となっています。
ここで注意したいのが、
「500℃まで使える=500℃までなら、どんな環境でも割れない」
という意味ではないことです。
ガラスは、使用する環境によって急激な温度変化やガラス内部の温度差が生じると、耐熱温度より低い温度でも割れることがあります。
そこで重要になるのが、次の「耐熱衝撃温度」と「熱応力」です。
② 耐熱衝撃温度
耐熱衝撃温度は、急激な温度変化にどこまで耐えられるかを見るための指標です。
ガラスが熱によって割れる原因のひとつが、急激な温度変化によって生じる膨張・収縮の差です。
たとえば、熱くなったガラスの一部分に冷たい水がかかったとします。
水がかかった部分は急激に冷えて収縮しますが、ほかの部分はまだ熱いままです。
このように、ガラスの中で急激な温度差が生じると、ガラスに大きな負荷がかかり、割れる原因になります。
テンパックス フロートの耐熱衝撃温度は160℃です。
つまり、耐熱温度が500℃だからといって、急激な温度変化にも500℃まで耐えられるわけではありません。
特に、薪ストーブやオーブンなど、短時間で温度が大きく変化する場所では、耐熱温度だけでなく耐熱衝撃温度も確認することが大切です。
③ 熱応力
もうひとつ確認したいのが「熱応力」です。
熱応力は、1枚のガラスの中の、高温な部分と低温な部分の温度差です。
たとえば、ガラスの一部分だけが熱源に近く高温になり、離れた部分は低いままという状態を考えてみましょう。
このとき、1枚のガラスの中に温度差が生じます。
温度差が大きくなると、それぞれの部分で膨張・収縮の仕方に差が生じ、ガラスが割れる原因になります。
テンパックス フロートの熱応力は80℃です。
つまり、耐熱ガラスを使用するときは、周囲の温度が何℃になるのかだけでなく、ガラス1枚の中でどのくらい温度差が生じるのかも重要なのです。
このように、温度差によってガラスにヒビが入る現象を「熱割れ」といいます。
「500℃まで使える」のに、なぜ500℃以下で割れるの?
ここまでの話をまとめると、
耐熱温度
→ 使用する環境が何℃になるか
耐熱衝撃温度
→ 急激な温度変化にどこまで耐えられるか
熱応力
→ 1枚のガラスの中に生じる温度差による負荷
というように、それぞれ見るポイントが異なります。
そのため、「500℃まで使えるから、500℃以下なら絶対に割れない」とはいえません。
テンパックスの場合、最高使用温度は500℃ですが、耐熱衝撃温度は160℃、熱応力は80℃です。
耐熱ガラスを選ぶときは、単純に「何℃まで使えるか」だけを見るのではなく、どのような温度変化が起こる場所なのかまで考える必要があります。500℃以下でも熱割れが起こるのは、このためです。
テンパックスが向いている場所
テンパックスは、次のような場所で使用されています。
・サウナの窓……透明度が高く、室内外の視界を確保できます。
・キッチンのコンロ周り……油はねを防ぎながら、手元まわりを暗くしにくい透明な仕切りとして使用できます。
・飲食店の厨房の仕切り……焼き台などの周囲を仕切りながら、調理場と客席の見通しを保てます。
・照明器具……熱を持つ器具の周囲などに使用されています。
共通しているのは、
「直火が当たるわけではないものの高温になる」ことと、
「透明であることに意味がある」こと。
こうした場所では、テンパックスの透明度と耐熱性を活かすことができます。

テンパックスを薪ストーブに使ってはいけない理由
ここは、耐熱ガラスを選ぶうえで特に注意していただきたいポイントです。
テンパックスは、最高使用温度が500℃だからといって、薪ストーブの覗き窓に適しているわけではありません。
薪ストーブの炎は、燃え方によっては1,000℃近くに達することがあります。ストーブ本体の天板は200~400℃程度が目安ですが、覗き窓は炎に近く、非常に高温になる場所です。
さらに薪ストーブでは、使用中にガラスの一部だけが高温になったり、火を消したあとに温度が急激に変化したりします。このような環境では、ガラスに大きな温度差が生じ、熱応力によって割れる可能性があります。
テンパックス フロートは、
- 最高使用温度:500℃
- 耐熱衝撃温度:160℃
- 熱応力:80℃
です。
一方、薪ストーブの覗き窓などに使用されるファイアライトは、耐熱衝撃に非常に強い耐熱結晶化ガラスです。
ファイアライトは耐熱衝撃温度800℃で、熱膨張がほぼゼロという特長があります。
そのため、薪ストーブのように高温になるだけでなく、急激な温度変化が起こる場所には、テンパックスではなくファイアライトが適しています。
▶ 関連記事:薪ストーブに最適!800℃の耐熱ガラス「ファイアライト」の耐熱強度と注文方法

テンパックスとファイアライトの違いを比較
コーワで取り扱っている耐熱ガラスには、テンパックス フロートとファイアライトがあります。
どちらも耐熱ガラスですが、用途が異なります。
【テンパックス フロート】
・耐熱温度:常用450℃/最高500℃
・耐熱衝撃温度:160℃
・熱応力:80℃
・化学組成:ホウケイ酸ガラス
・色:透明度が高く、青みがない
・厚さ:0.7〜25.4mmの14種(自動注文は5mm)
・主な用途:サウナの窓、コンロ周り、厨房の仕切り、照明器具
・製造:ショット社(ドイツ)
【ファイアライト】
・耐熱温度:連続750℃/短時間800℃
・耐熱衝撃温度:800℃
・化学組成:耐熱結晶化ガラス
・色:うすいアンバー色
・厚さ:5mm・8mm(自動注文は5mm)
・主な用途:薪ストーブの窓、オーブンの覗き窓、公共施設等の防火ガラス
・製造:電気硝子建材株式会社

迷ったときの選び方
テンパックスとファイアライトのどちらを選べばいいか迷ったら、まずは次の2点を確認してみてください。
① 炎が直接ガラスに当たるか?
炎が直接当たる用途であれば、ファイアライトが適しています。
② 短時間で大きな温度変化が起こるか?
薪ストーブやオーブンのように、火を入れることで短時間に高温になり、使用後には温度が下がるような環境では、耐熱温度だけでなく耐熱衝撃への強さが重要です。
このような用途にもファイアライトが適しています。
反対に、直火が当たらず、急激な温度変化も比較的小さく、透明度を重視したい場所であれば、テンパックスが候補になります。
使用環境によって適したガラスは変わりますので、判断に迷われる場合は、使用される機器や設置場所をお知らせください。
コーワが用途に合ったガラスをご提案いたします。

強化加工もできます|厚みのあるテンパックスのご注文例
テンパックスは強化加工が可能です。
こちらは、厚みのあるテンパックスに強化加工を施したご注文です。これほど厚みのあるテンパックスは珍しく、耐熱ガラスという枠を超えて、ただただ美しい仕上がりでした。
強化加工および5mm以外の厚さは、WEBサイトから自動注文いただけないため、別途お見積りで承っております。お気軽にお問合せください。

テンパックスの価格は?400×400mmの注文例
実際にコーワでテンパックスをご注文いただいた場合の価格例をご紹介します。
【サウナの窓ガラス】
・サイズ:400mm×400mm 厚さ5mm
・ガラスの種類:テンパックス フロート
・エッジ加工:割っただけ
・重量:2kg
・価格:19,803円(税込)
※2026年9月時点の価格です。サイズ・厚さ・エッジ加工によって変わります。
正確な金額は、コーワガラスショップの自動見積りでご確認いただけます。
テンパックスのご注文方法
まずは、オーダーいただくガラスの形状をご確認ください。
四角形・円形・角丸の場合
コーワガラスショップまたはガラスカガミ自動販売機から、サイズ・形状・エッジ加工などを選択して、そのままご注文いただけます。
特殊な形状・5mm以外の厚さ・強化加工の場合
別途お見積りにて承ります。
サイズや形状が分かる図面をお送りください。
手書きのイラストや、現物に合わせた型紙でも大丈夫です。
▶️お見積りはこちら

まとめ
耐熱ガラスは、単純に「何℃まで耐えられるか」だけで選ぶものではありません。
どのくらいの温度になるのかに加えて、どのくらい急激な温度変化が起こるのか、ガラス1枚の中にどのくらい温度差が生じるのかを考えることが大切です。
テンパックス フロートは、透明度が高く、直火が当たらない高温環境に適した耐熱ガラスです。
一方、薪ストーブのように直火が当たり、急激な温度変化が起こる場所には、熱衝撃に非常に強いファイアライトが適しています。
▶直火が当たらない高温環境+透明に見せたい
→ テンパックス フロート(500℃/耐熱衝撃160℃)
▶直火が当たる・急激な温度変化がある
→ ファイアライト(800℃/耐熱衝撃800℃)
テンパックスは、ご希望のサイズ・形状に合わせてカットしてお届けします。
5mm厚であれば、サイト上でサイズを入力するだけで、その場で価格をご確認いただけます。
コーワは、お客様に指定いただいた形・サイズのとおりに製作するオーダーカット専門店です。
サイズや形状についてのご相談、お見積りもお気軽にお問い合わせください。
▶ お見積り・ご相談はこちら
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